最終更新日:2024/08/29
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おもに飼育中のナミヘビの飼育と繁殖記録サイトです。
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アオダイショウ/Elaphe climacophora
分布:日本(北海道、本州、四国、九州など)
全長:120-180cm、最大200cm以上
温度:25-28℃
繁殖:一度に4-15(24)個の卵を産む。卵は25-29℃で44-75日で孵化する
冬眠:5-12℃で3-5ヶ月
寿命:15年以上
丈夫で餌食いも良く、アジアの蛇のなかでは飼いやすい蛇です。産地ごとにわけてブリードされることも多く、特に北海道や国後島に分布するアオダイショウの一部は非常に美しく、選別交配されています。一方で、成長の過程で予想外の方向に色彩が変わることもあり、最終的な体色を見極めるのが難しい蛇でもあります。
▼繁殖
多くは5~7月にかけて交尾、6~8月頃に卵を産みます。重要なのは健康かつ繁殖に適した体格のペアが揃っている事で、蛇の状態を充分に整えた後、繁殖行動を促すための冬眠が必要となります。
繁殖自体は飼育下で豊富な餌を与えられた雄で2歳、雌で3歳から可能とされていますが、確実なのはさらにもう一年は育成に時間をあてることです。特に雌はより育っていることが望ましく、産後の体力回復も早くなり、卵詰まりなどのリスクを減らすことができます。
9月頃には雌雄ともに万全な状態に仕上げ、10月の終わりまでには餌を切り、そこから約一ヶ月後に冬眠させます。冬眠中は基本的にシェルターの中でじっとしていますが、温度が上がると活動して水を飲むので、水は常に新鮮なものを用意します。
適切な環境下で冬眠させることができれば、目に見えて痩せることもなく、3~4月頃には目覚めている筈です。あとは徐々に通常の飼育温度に戻し、落ち着いたころに餌を与えます。最初は少なめに与え、特に問題がなければ量を増やしていくのが無難です。この間にペアリングさせると交尾する場合もありますが、フェロモンの影響からか脱皮後のほうが成功率が高く、有精卵も得られやすいと云われているので、冬眠明けから一ヶ月程度は、脱皮を待つ意味でも、ペアリングは待ったほうが良いでしょう。大抵は冬眠明けから近いうちに脱皮はするものなので、タイミングを見てペアリングさせます。
妊娠期間は40~50日程度であるようです。
-孵卵
自然下の雌が孵化まで卵を守ったと思わしき例もあるようですが、飼育下では専用の孵化器で管理するのが安全だと思います。高価な装置を用意する必要はなく、タッパーなどの密閉容器に幾つか穴を開け、通気性を確保したもので充分です。
孵化器内の湿度は孵卵初期の一番高いときで80~90%、孵化直前には70%程度保てていれば充分です。孵卵温度は32℃までなら孵化するようですが、あまりにも高温で孵化させると、孵化仔のサイズが小さくなるとも云われているので、注意が必要です。どちらかというと高温時に問題が生じやすいのは、親も仔(卵)も変わらないはずなので、孵卵温度は25~27℃程度を推奨します。とはいえ、アオダイショウで孵卵の失敗というのも、あまり聞きません。卵は培養基に完全には埋めず、窪みに置く程度にとどめます。孵化日が近づくにつれ、少しずつ卵が凹んでくることがありますが、湿度不足ではなく普通のことなので、加水の必要はありません。むしろ、このとき卵は凹
んだほうが良いぐらいで、最初に孵化するのも大きく凹んだ卵であることが多く、また孵化直前の自然環境下の卵は、飼育下で管理された卵以上に凹んでいるものです。
-孵化
アオダイショウの孵卵温度と孵化期間
()内は孵化率
26-28℃------50日(9/9) 50日(4/5)
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サキシマスジオ/Orthriophis taeniurus schmackeri
分布:日本(先島諸島)
全長:160-220cm、最大250cm以上
温度:25-28℃
繁殖:一度に2-?個の卵を産む。卵は26-28℃で約70日で孵化する
冬眠:下限15℃で2-3ヶ月のクーリングが可能
寿命:15年以上
外来種のタイワンスジオを除き、おそらく日本に分布する蛇の中で最長の種です。一昔前はWC、現在では主にCB個体が流通しますが、いずれも見かける機会は少ないです。
国内で流通するスジオナメラ亜種の中では比較的大人しく、丈夫で餌食いも良い蛇です。非常に魅力的な蛇ですが、とにかく卵数が少ないことに加え、場合によっては死籠りも多く、一筋縄ではいきません。
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マレースジオ/Orthriophis taeniurus ridleyi
分布:マレーシア、タイ南部
全長:180-230cm、最大250cm以上
温度:23-28℃
繁殖:一度に7-20個の卵を産む。卵は24-26℃で約90日で孵化する
冬眠:下限15℃で2-3ヶ月のクーリングが可能
寿命:15年以上
亜種中で最も美しいとされ、成長とともに体から黒が抜けていき、黄色味がかった白を基調とした体色は、他亜種とは一線を画す。国内ではCBがおもに流通しますが、CBでさえも気性の荒い個体が多いです。湿度不足から脱皮不全になりやすいので、冬季の乾燥には注意しましょう。キャメロンハイランドの個体群は黄色が強く発色し、飼育下でも区別されています。
ホウシャナメラ/Coelognathus radiatus
分布:東南アジア
全長:150-180cm、最大230cm
温度:25-29℃
繁殖:一度に5-15(23)個の卵を産む。卵は27-29℃で64-95日で孵化する
冬眠:----------
寿命:20年以上
東南アジアに広く分布する大型のナメラです。
樹にも登りますが、基本的には地表で活動する蛇です。繁殖力が非常に高く、年間に最大9クラッチ、卵の個数にして計100個以上も産んだ例があります。
▼繁殖
特定の繁殖サイクルをもつのかは不明ですが、少なくともCBに限っていえば、何となくペアリングをするだけでうまくいってしまう事も多いです。近縁のキスジナメラでは、クーリングして繁殖させた例もあるようですが、同じく近縁のトリンケットラットスネークでは、クーリング中に死亡した例があるようです。
交尾時間は4-6時間。通常は40-75日ほどの間隔を空けて数クラッチします。交尾後は比較的短いスパンで卵を産むため、雌はクラッチ間に多くの餌を必要としますが、くれぐれも過剰な給餌による太りすぎには注意しましょう。
以前、太り気味の雌個体を用いて繁殖させた結果、卵を10個産んだものの、うち7個は無精卵、有精卵はわずか3個しか得られませんでした。そこで、次のクラッチまでに給餌量を調整して雌の体型を整えたところ、途中で一度も交尾を挟んでいないにもかかわらず、第ニクラッチでは計10個(197g)の有精卵を産みました。ほかの種類の蛇にもいえますが、野生個体同様に太っておらず、その種本来の体型を維持している個体のほうが、産卵時のトラブルも少なく、良好な結果が得られます。
余談ですが、WCの立派な雌(180-185cm)の体重は800gであったそうです。繁殖時の参考になるかもしれません。
クラッチ数の多い蛇は餌食いも良く頑健な種が多いですが、一方で思わぬときに産卵することがあります。飼育者が給餌量を調整してクラッチ間隔をコントロールすることは難しく、産卵経験のある雌は餌を控えめに与えていても、早々に次の卵を産んでしまうことがあります。この場合、単に小さい雌個体ほど体力を消耗してしまうようです。
そのため、この手の蛇はしっかりと育成してから繁殖させることが特に重要です。より大きく育っていれば、その分体力も早く回復し、何よりも不測の事態に対する保険になります。
-孵卵
卵殻はそこそこ厚みがあり、多少湿度が不足しても凹みにくい。管理は容易な部類です。通常は培養基に対して水の比率を1:1のセオリー通りで問題なく孵化します。注意点としては、やはり通気性が悪いと下のほうにある卵が駄目になりやすいので、卵は埋めずに置く程度にとどめ、なるべく空気に触れる面を多めに確保します。近縁のキスジナメラでは、死籠りが報告されているようですが、本種は特に大きな問題を抱えていないようです。
ただし、産み落とされた卵の状態や孵卵環境によっては、水分を吸収しすぎて孵卵期間の終盤にかけて膨張する卵が出現することがあります。こちらの環境でもひときわ小さい卵だけが膨張して破裂したことがあり、そのとき中の仔はまだわずかに生きていました。孵化後は殻の中に本来吸収されるはずの養分を残していないか(高温での孵卵時に多い)等を確認し、問題が多く見られた場合は、次回から孵卵環境を改善します。孵化した幼蛇のほうも、奇形などの異常が無いか、くまなくチェックしたほうが良いでしょう。
-孵化
ホウシャナメラの孵卵温度と孵化期間
()内は孵化率
24-27℃------94日(7/7)
25-27℃------75日(6/7) 80日(8/8) 82日(5/5)
26-28℃------69日(5/5)
27-29℃------70日(7/8) 72日(6/6)
-幼蛇
孵化したばかりの幼蛇の全長は28-45cm程度。体重は多くの場合08-16g、大型の卵からは17g以上の仔が孵化する。参考までに08gの個体で全長約28cm、16gの個体で約38cm。本種は餌付けの段階でマウスを食べない事も多く、単純に孵化仔が小さいとそれなりに苦労を要します。比較的高い代謝をもち、幼蛇のうちは痩せやすいため、まめな給餌が必要です。
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ヤンセンナメラ/Gonyosoma jansenii
分布:インドネシア(スラウェシ島とその周辺の島々)
全長:160-200cm、最大230cm以上
温度:25-29℃
繁殖:一度に2-9個の卵を産む。卵は27-29℃で約120日で孵化する
冬眠:----------
寿命:12年以上
一般名称はジャンセンラットスネーク(Jansen's Rat Snake)。
体色が尾にかけて黒く染まり、旧セレベス島に生息することから、別名「Celebes Black-tailed Rat Snake」
樹上性傾向の強い昼行性の蛇で、スラウェシ島とその周辺の島々の熱帯雨林に生息し、鳥、ネズミ、リス、コウモリなどの鳥類や小型哺乳類を捕食します。
タイガーラットスネーク/Spilotes pullatus
分布:メキシコから中米~アルゼンチン北部
全長:160-270cm、最大300cm以上
温度:25-28℃
繁殖:一度に5-14個の卵を産む。卵は25-27℃で73-85日で孵化する
冬眠:----------
寿命:15年以上(飼育下の記録で17年)
何亜種かに分けられていますが、分類に関しては混沌としています。
色彩や模様の入り方で大まかに分けた場合、南部にかけて体の後方にあるバンド模様が消失し、体色の黒っぽい個体が増えていく傾向にあるようですが、個体差(または地域差)は多岐にわたり、亜種間での見分けがつかないことも多く、色彩や模様のみで判別することは非常に難しい。
メキシカンタイガーラットスネーク/S. p. “mexicanus”
分布:メキシコ南部、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア等
より丸みを帯びた頭部、短い鱗、バンド数の多さ、やや太くがっしりとした体型など、少なくともガイアナなど南米北部の個体群とは明瞭な違いがあります。体鱗列数や尾下板数も、南米の個体群より多い傾向があります。
典型的なものは黄色を基調とし、黒のバンド模様が入る。模様は体側から見た時に、体の前方のものは斜め前、後方のものは縦に入っている。この後方に並ぶ模様は多くの場合、前方のものより横に長い(太い)。さらに体の前方にあるバンド間の鱗には、鱗の先端部分や縁に沿って黒が入ることが多い。この黒はたいてい隣接する他の鱗やバンドの黒とも結合しており、そのため体の前方にあるバンドが連結し、模様がぼやけている個体も多く存在する。対して体の後方に入る模様は、よりはっきりとしたバンド模様になっている。
タイガーラットスネーク(メキシコ産)
掲載中のものは、かなり派手で特徴的な個体群だと思われる。黒バンドの真ん中を縦断するかのように薄い黄色の帯が入る。このバンドの黒い部分は、成長と共に擦れたように薄くなっていくことも多く、全体的に模様がぼやけた印象の個体が少なくない。また、バンドは細い傾向があり、間隔が狭く並んでいるのも相まって、数も多いようだ。個体差はあるものの、頭部や胴体中央部を筆頭に山吹色が発色している。
iNaturalistなどを見る限り、一連の特徴を持った個体はユカタン半島北部に多い感じがするが、定かではない。
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